昔の彼との2年間


投稿者:nyankoさん

最近になって、そちらのサイトに辿りつき。
掲示板に2度書き込みをしたnyankoと申します。

もうかなり昔の話なのですが、思い出しましたら
無性に文章にしたくなり、失礼かと思いましたが投稿させて頂きました。

私が昔、同居していた男性は同居を始めてから1年で薬に手を出しました。
その前は、薬関係はやっていなかったと確信しています。
酒もタバコもギャンブルも興味のない人でした。

そして薬とは無関係に、初めから我侭で嘘つきで働かない人でした。
簡単に言えば「ヒモ」です。
だからといって家事をしてくれるわけでもなく、休日に一緒に遊びに行くのも嫌がる。
毎日ゲームをするか音楽を聞いて過ごす。
その時代は、まだPCは世の中に普及してませんでしたが今で言えばニートのような生活。

私は、普通の男性の誰からも相手にされない醜悪な女という訳ではありません。
その頃は仕事が忙しくお金の余裕もありましたが
一人暮らしの寂しさを紛らわせる男性が欲しかったのです。
今、思うと、なんと子供じみた考えだったのかと反省しています。
ヒモと、いっても一日500円あげれば生活できる人でしたから犬猫ペットに近かったですね。
彼の唯一の長所は見た目の可憐さでしたから。

ある日。友達が一人も居ないはずの彼に、彼の地元の友達から連絡があり
私の家に突然訪ねて来ました。その彼の友人は薬の知識が全くない私が見ても
挙動がおかしく、言っている事も支離滅裂でした。

怖いとは思いませんでした。なんだか見ていて面白かった。
ヤンキー風の格好で小指が無い事を、しきりに何度も自慢していて
突然「あ!アイロン貸してください!」と言って
ズボンをプレスしたかと思えば、今度は唯一の荷物の紙袋の中身を整理しはじめる。
中身は全てエロ本と大量のコンドームとバイブレーター。
なぜか大量の新品の安全ピン。安全ピンって何か薬に使用するんでしょうかね?
どこのサイトを見ても、未だに謎です。

その面白君と一緒に彼は一旦、地元に帰ることになりました。

それから彼は頻繁に地元に帰るようになり、長い時は1〜2週間帰って来なくなり
携帯も一切通じない。実家の電話は知っていたので掛けましたが
息子は地元に帰って来てはいるけれど、友達の家に行ったきりだと。
もう諦めて忘れようと思った頃に、突然私の所に帰ってきて
何事もなかったように、部屋で一日中ゴロゴロしていました。

そんな「里帰りお薬生活」が1年くらいだったと思います。
想像ですが、地元では、お金がない彼にも「ゴチ」してくれる友人が居たのでしょう。
それが過ぎると、地元には、帰らなくなりました。
私の家で暫く楽しめる量を手に入れたのだと思ってました。

ここから彼の「引きこもりお薬生活」が始まりました。
私の家はワンルームではなかったので彼専用らしき部屋が一応ありました。
ですが鍵は付いておらず、入ろうと思えばいつでも入れます。
それに、そこは彼の私物が多いというだけで
ゲームをしたり音楽・テレビなどはリビングでが普通だったのですが
彼は、まるで中高生のように自分の部屋に全ての遊び道具を運び込んで
一切部屋から出なくなりました。

そこには私の本棚があったので、本を取りに入ると嫌な顔をします。
「なんでそんな狭い部屋に居るの?リビングに来なよ。ご飯あるよ」と言うと
「このゲームが気に入ってるから一人で、じっくりやりたいんだ」
と言ってました。いわゆる"ボケハマリ"ですね。

もう、この頃には前述の面白君の事もあり、いくら薬に疎い私でも、やっている事は解っていました。
部屋の中でPも発見していましたし。
が、全く働らかず、お金が無い彼です。
そのうちネタが底をつくだろうと、タカをくくっていました。
そして又地元に帰れば、もう二度と家に入れなければいいだろうと。

考えが甘かった!!
彼は元々が、怠慢なので地元に行くのも面倒になったのです。
ネタは欲しい。だが地元に帰るのは面倒。
と・・・いう訳で、私が仕事に行っている時間に地元から誰かが運んできていた様子です。
無料で、そこまでしてくれる、なんとも厚い友情かいな、と思ったら大間違い。
彼は私の財布やタンスから、お金を盗むようになりました。
すぐに気が付き、現金や通帳は一切家に置かないようになりましたが
今度は、めぼしい金目の物を全て質入れされました。
それほど高価な物を持っていなかったのが幸いですが。

友人に相談しても、そりゃ「すぐ別れなさい!」と親切に言ってくれます。
私も、最初こそ情が移っていて、きっと薬を止めれば・・・などと思っていましたが
これは、まずいなぁ。と思ったのはボケハマリ状態はまだしも
ネタが、なくなると私に八つ当たりするようになってきました。
「俺が、こんなことになったのは、お前が俺を甘やかしたからだ!」
「お前はサゲマンだ!!」
はい。それは大当たり。
そう思うなら、さっさと別れて出て行ってもらいたいです。

みなさんも、注意しましょうね。
男を飼うのは簡単ですが、捨てるのは並大抵じゃないですよ。
じゃあ、彼を残して私が引越ししてしまえばいいじゃないかと思うでしょ?
うちは分譲です。しかも、その時点ではローン返済真っ只中。

ある日、帰宅するとドアのチェーンロックがされていて入れません。
何度もチャイムを押すと彼が隙間から顔を出して

「金くれれば、入れてやってもいいよ」
「嫌よ。どうせ薬買うんでしょ。それに、ここは私の家なんだから、何度も言うけど早く出てよ」
「金くれれば、出てやるよ」
「いくら?」
「10万」
「そう。それで本当に出てってくれるのね?」
「金くれるの?」
「あげるから、チェーンはずしてよ」
「嘘だ!はやく金出せ」
「そんな大金、財布に入れてるはずないでしょ?」
「やっぱり嘘じゃねーか!騙しやがったな!」
「まったく・・・このポン中が・・・ボソッ」
「俺はボンチュウじゃありませ〜〜ん!!ポンチュウじゃありませ〜〜ん!!」

近所中に聞こえる声で、夜中に叫ぶ。
あぁ〜、参ったなぁ。気軽に引越しできないのにな。
そんな日が続き、仕方なく自分の家があるのにビジネスホテルに宿泊したことも。
何日かすると彼から懇願するように「帰ってきてくれよぉ」と泣き声で携帯に電話。
また騒がれて近所迷惑になるのが嫌で、帰っては少しづつお金を渡していました。
そして犬猫ペットであったはずの彼との主従関係が逆転している始末。

最初は病院や施設を勧めましたが、聞き入れるはずありません。
警察に通報しようかと考えましたが、自分自身の保身を考えて
事情聴取されるのすら嫌でした。
私は一切薬をやっていませんが疑いは持たれるでしょう。
世間の目ばかり気にしていたのです。

そんな奇妙な暗黙の了解の生活は2年続きました。
彼の部屋へは一歩も入ることなく、生活の時間帯は、ほとんど別。
私は、ニートと呼ばれる、お子さんを持った親の一番ダメなタイプでしょうね。

まぁ、唯一得したのは、彼の機嫌が良さそうな時に風呂掃除やトイレ掃除を頼むと
一日中やってくれるので家の中は、彼の部屋以外はピカピカでしたね。
ダスキン・メリーメイドでも、あそこまで丁寧にやってくれないでしょうね。
それから山のような本棚の整理。
作者・年代順にキチーンと整理してくれます。便利です。
でも、彼への情は薄くなっていたので断薬させる努力より
どうやって穏便に別れるかは日々考えてました。

さて、私が、どうやって彼と別れられたかというと
実は自分の力ではありません。友達の協力でもありません。
単なる偶然でした。
彼にネタを運んでいた友人が、彼に紹介した女性と付き合い始めたからです。
もちろん、その女性は薬を常用していました。
彼は見た目は相当のイケメンでしたから、貧乏だろうがなんだろうが
しかも一緒に、薬で楽しめるとあれば、即お付き合いってことになったんでしょう。

なぜ知っているかといえばキチンと彼から携帯に連絡があったからです。
「俺、お前より好きな女ができたんだ。ごめん。そいつと暮らすよ。面白君の知り合いの女だ」
「あ、そう。荷物どうする?」
「一応、服や身の回りの物は、持って出た。後は何もいらないから」
「そう。じゃ適当に処分するわ。遠くに行くの?」
「ああ、地元の女だからな。一緒に地元に戻るよ」
「じゃ、元気でね」

ラッキー!

私は即行で、二度と入れないように家の鍵を交換しました。
で・・・本当に久しぶりに彼の使っていた専用の部屋にはいると・・
そこは、未知の世界でした。
おびただしい数のミネラルウォーターのペットボトルのカラ。
無数の「マキロン」。血の付いたティッシュの山に
たぶんPのフタであろうプラスチックの何か。
パケと呼ばれる袋のカラ。
これらは、全部、薬を使用する為のものなのだろうと、すぐわかりましたが
私の物ではない女性用のストッキングが、何足か散らばっているのです。
私は、新しい彼女を家にも連れ込んでたんだな。最低だわ。
と・・・思っていたのですが、あれは腕を縛る道具だったんですね(笑)

まったくもって薬とは関係のない話になった感がありますが
私にとっては生涯忘れられない2年間でした。

別れてから、彼からの連絡は一切ないですし
共通の友人も居ないので消息は不明です。
あ・・・一回だけ携帯に「金貸してくれ」とあったような??

その後は「好きな男性のタイプは?」と合コンなどで、よくある質問をされると
「働いていて、シャブをやってない人です」と答えていました。
質問した相手はキツい冗談を言う面白い子だねぇ。と爆笑してくれますが
私は真剣に答えていただけです。


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