タイーホレポート 1



 『はじめに』にも書いてある通り、私は被逮捕経験者です。

 覚せい剤事犯に於いて、私が体験した被逮捕経験を書いていこうかと。


 ガンガンガンガンガンッ ! !

 切れ目気味で寝ていたところ、なにやら玄関の戸を激しく叩く音が。

 (あ〜、出るの面倒くせぇ。放っとくか)

 ガンガンガンガンガンガンガンガンガンッ ! !

 名前を呼ぶこともなく、さらに激しく戸を叩く音。

 あきらめて帰る様子はない。

 (知り合いでも来たかな)

 ちょっと半ギレ状態で鍵を解き、戸を開けると見知らぬ中年男が3人立っていた。

 私 「なんやお前ら?」

 男1 「○○○○ (私のフルネーム) か?」

 私 「そうやけど、なんの用やねん?」

 男1 「警察や。お前に覚せい剤で逮捕状が出とる。ガサ状もあるぞ。」

 と、私に令状をつきつけ、家の中に入って来ようとする。

 フダ(令状)が出てる以上、逮捕はほぼ100%逃れられない。

 どこでバレたんだろうと考えつつも覚悟を決めた。

 私 「ちょっ待たんかいっ ! まだ入るなっ ! !」

 さすが、権力の犬。彼らはやめようとしません。(笑

 かなりムカついた。

 とりあえず抵抗し、阻止を図る。

 家の戸は引き戸で小さ目だったため、彼らは容易に押し入ることが出来ませんでした。

 私 「パクリ状もガサ状もあんねんやろ。覚悟決めとるさかい、ガタガタすんなやヴォケがぁっ ! ! とりあえずそれ止めんかいっ ! !」

 と、押し入ろうとする男達 (以下刑事) に怒鳴る。

 私 「ほれ、どく (退く) からはなれんかいっ」

 一歩さがった刑事たちに入り口をあける。

 私の態度が気に入らなかったのか、捜査手順で決まっているのか、乱暴に私のズポンの尻側のベルトをつかむ。

 またムカついたので

 私 「その乱暴さ気に入らん。逃げへんさかい、もうちょっとゆっくりせいや。お互い人間やんけ、ちゃんと捜査に協力するから。」

 とりあえず乱暴な扱いは止まった。

 刑事「ネタ持っとんか ? どこにあんねん ?」

 私 「ないない。今切れ目や。どうせションベンで出るさかいかまへんのんちゃうん。」

 ちょうど、その日の夜に仕入れる予定だったので本当にネタはありませんでした。

 刑事達は、ネタ (証拠) をつかむまで家中を探し回るだろう。

 なおしこんであるエロビデオとか、電動コケシとか見つかると恥ずかしい。

 私 「あんたらの探しとるのはないけど、それに代わるもん出すわ。」

 精製後の、ネタ成分をまだいくらか含んでいるであろう除去物を差し出す。

 ヒマな時に再精製するために捨てずに取っておいた物である。

 これは何かと問う刑事に簡単に説明し、納得させる。

 渡した物をテーブルの上に置き、私にそれを指差させてポラロイド写真を撮る。

 収納の引き出しの中のおびただしい化学実験器具を見て、刑事達が驚きの声を上げる。

 刑事 「なんじゃこれは ? お前一体何をしとったんや???」

 この頃になるとお互いの敵意は薄れ、割とフレンドリーな雰囲気になっていた。

 私 「刑事さんらには解らんむずかしぃ〜い事やってましてん。(笑」

 刑事 「まさか、お前作っとったんとちゃうやろな ? 」

 私 「それは無理やわ。この程度の器具じゃ、とてもやないけど作られへんて。」

 この頃になると、制服警官もやってきていた。

 裏口等から逃走を図った時に備えて近所で張っていたのだろう。

 証拠物も手に入ったわけで、所轄署に向かうことになった。

 押収物は、精製除去物と未洗浄ビーカー等数点。

 恥ずかしい物が見つからなくて助かった。(笑

 風呂を沸かしてあって、種火が点いていたので消しに行かせろと要求したが、万が一の逃走を恐れたのか拒否され、口伝てで説明し、制服警官が消した。

 私 「な ? な ? 大人しかったやろ ? そやからワッパかけるのは本署に行ってからにしてぇ〜な。ええやろ ? 」

 近所の人たちに見られるのはちょっと抵抗があったので申し出たところ、希望通りワッパをかけずに本署までということになった。

 言ってみるものですな。(笑

 覆面パトに乗りいざ警察署へっ ! !



 つづく ♪

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